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雨あがり #2
「……さん、階堂さん、階堂さん!」
「えっ?」
突然名前を呼ばれた気がして、振り返ると事務の女の子が、もう帰り支度をしていた。
「いつまで書類とにらめっこしてるんですか?皆さん、帰りましたよ。」
「ああ、そう…なんだ……」
昔を思い出していたら、知らないうちにそんな時間になっていたのか。
「私も帰りますから、早く帰る用意をしてください。」
「……わかった。」
まだ、夢から覚めた気分のままで、立ち上がりカバンを手に取った。
「そうだ、階堂さん。傘、持ってきました?」
「傘!?」
「これから降るみたいですよ、雨。よければ、傘貸しましょうか?」
ちらっと外を見ても、雨が降るようなそんな気はしなかった。
「いいや。降ったら振ったで、走って帰るさ。」
「あっ、そうですか。」
もしかしたら、俺の為に傘を用意してくれていたのか。
事務の女の子は、少し不機嫌そうな顔を見せた。
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