お米の目覚め

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「じゃあ俺からいくぞ。しりとりの『り』からな。『リトマス試験紙』」 「『し』だね。うーん……『しりとり』……」 「……」 「……」  見つめ合う僕ら。 「……『臨床心理士』……」 「……」 「……」  にらみ合う僕ら 「……『しり』」 「『利子』」 「『Siri』」 「おい、それありなのか!」 「勝てばよかろうなのだ!!」 「『し』と『り』からぬけだせてねぇよ!」 「え……尻から抜けない……? なにが……?」  こいつ、実はとんでもない変態じゃあないだろうか……? 「とにかく仕切り直しだ。いくぞ! 『りす』」 「『スリッパ』」 「……『パリ』」 「……『リンス』」 「『スーパー』」 「『パルス』……ってユウが狙ってんじゃん!」 「なんのことだかさっぱり」  くううう、なんと意地悪なやつなんだ!  今度はこっちから仕掛けてやる! 「じゃあ次は僕からね! ぶっ殺してやる!」  こうして退屈だった時間は楽しいひと時へと変わった。  誰かと繋がっていると、些細ない日常がこれほど幸せな日々になるんだと改めて実感した日だった。  その日の晩。 「くっそオオオ、ユウ、覚えてろオオオ!」 「百年はえーよバーロ」  *  しりとり大会から一週間後のこと。  なにやら周りが騒がしい。僕は目が覚めてしまった。     
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