第二十六章 王女殿下がXXXの丸焼きをお召し上がりなるまで 

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 アリスの鶴の一声によって、ようやく休息を取れることなった兵士たちが、ぞろぞろ城内に引きあげていく。  が、全員ひどく疲れ、足取りは重い。  その様子を見て、僕はアリスに言った。 「あの、アリス様。敵の警戒はマティアス様たちに任せ、アリス様もお部屋でお休みになられたほうがよいのではないでしょうか」 「いや……私はまだまだ元気だ。それに竜騎士を置いて私が一人休むわけにはいかないだろう」  しかし、かく言うアリスの顔色はかなり良くない。  声も疲れてかすれ気味だ。  王女として鋼の精神(こころ)を持つアリスにといえども、この二日半に渡る激しい攻城戦は、体に相当こたえたのだろう。      「それじゃあいけませんって、アリス様。いま休まないでいつ休むんですか」  いつになく憔悴したアリスを見て、エリックがフォローする。 「それに今晩はもう敵は攻めてこない――戦場では経験豊富な俺が保証してるんですからね、どうぞご安心を」 「……だが」 「なあに俺もここに残って、マティアス様と万が一の事態にあたりますから。それならますます安心でしょう?――それでいかがでしょうか? マティアス様」 「もちろんだ。――アリス様、エリックの言う通り、どうか部屋に戻ってご休息をお取りください」  と、ここはマティアスもエリックも同意する。 「……そうだな、そうさせてもらうか」  アリスはうん、とうなずき、それから僕の服の袖をつかんで言った。 「すまぬがユウト、私の部屋まで付き合ってくれないか?」 「え……?」 「情けないが、慣れない城の中一人だと何かと心細い。できれば部屋に行くまでエスコートしてほしいのだ」  アリスはそう言って、僕の腕に手を回しよろめくようにもたれかかってきた。  いかにもしんどそうだ。  しかし、僕とアリスをこれ以上近づけまいとするマティアスが、慌てて叫んだ。 「ア、アリス様、お待ち下さい! 付き添いが必要なら城のメイドを呼びにやりましょう」  マティアスはそう言って、また僕とアリスの間に無理やり割って入ろうとする。  が、その肩をエリックがグイッとつかんでひきとめた。 「まあいいじゃないですか、マティアス様。若い二人だ、ここは大目に見ておやんなさいよ。――ほら、ユウト、速く行け」
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