第二十六章 王女殿下がXXXの丸焼きをお召し上がりなるまで 

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「は、はい」  わめくマティアスとそれを抑え込むマティアスを置いて、僕はアリスと一緒に、城壁の上を戻ってお城の塔の中に入った。    「ユウト、すまないな。部屋までの道は私が覚えている。だから、お前は付き添ってくれているだけでいい」  螺旋階段を下りながら、アリスが言う。  が、フラフラして足取りはおぼつかないし、よく見ると、ただでさえほっそりしていた体の線がさらに細くなった気がする。   「アリス様――」  と、僕は心配になって、思わず言った。 「あの……よろしければ部屋まで僕がおんぶしていきましょうか?」  「バ、バカを言え! いくらなんでもそこまでしてくれる必要はない」  アリスはほんのり顔を赤らめて答えた。 「それに城内にはいたるところに兵士がいるのだぞ。そんなところを見られたら恥ずかしいではないか」  恥ずかしいって……。  人前で僕に抱きつくのは平気だったのに、それは嫌なのか。  そんなに違いがあるようには思えないけど、やっぱりアリスは人に弱みを見せることに抵抗があるのだろう。  でも――  塔を下り切って、本城の中に入った時、僕はアリスに言った。   「アリス様、その点は気になさる必要はないのでは? 見てください。みんな疲れ果て泥のように寝入っています。誰もアリス様のことなど気にしてませんよ」  本当にその通りだった。  城内では、戦いから戻った大勢の兵士たちが、部屋や廊下にそのままへたりこんで、死んだように眠っていたのだった。  メイドたちが食事を用意していたはずだが、おそらく全員、それを取る気力も残っていなかったのだろう。 「ああ、それはそのようだ。しかしユウト、お前もさぞや疲れているだろう。なのに――」 「そんな遠慮なさらずに。アリス様らしくないですよ」 「……いや。でも」 「いいですから!」  僕は立ち止まって、まだ戸惑っているアリスを半ば強引に背負ってしまった。  普段ならこんな大胆なこと絶対にしないのに、その時の僕は、徹夜続きでハイテンションになっていたのだ。    後は二人でアリスの部屋に――
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