18人が本棚に入れています
本棚に追加
『鳥かご』とは言い得て妙だと、ミハイエールは思う。
一見、華美な装飾品の如き鎖と金輪は、カナリアたるアロを護っている檻なのだと、深く感じ入った。
「えっ?カナリア?」
ようやく割って入ってきたサンズの大声に、レジナもロビも気が付く。
異なる色の三対の目に一斉に見つめられ、さすがのアロも「分が悪い」と思ったのだろうか。
さっさと小柄な身を翻し、『城』の表門へと歩き出した。
ミハイエールの横を通り過ぎ様に、
「説明しておいてくれ。俺より詳しいだろ」
と、言い放ってきた。
「ですから、私のは又聞きで――!」
アロは振り返ろうとはしない。
ミハイエールの反論に傾ける耳など、最初から持ち合わせていないといった風情だった。
華奢なアロの背中に、濃い緑色の目を
「今、『カナリア』とか言ったな。魔法や精霊を降ろすことが出来るアノ、『カナリア』のことか?」
「何だ?その『カナリア』というのは?」
ミハイエールはサンズとレジナ、そしてロビに取り囲まれた。
彼らが口々に訊ねてくる事柄へと、いちいち答えなければならなくなった。
ミハイエールがそうしなければならない理由は、何一つなかったのだが――。
最初のコメントを投稿しよう!