Prologue

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「はい、なんでしょう? 私に出来ることならなんでもしますよ」  そして、彼方さんは衝撃の提案をする。 「私を本当の、堂々たるお嬢様にしてくれないか?」 「……と、言いますと?」 「会長推薦人として、私を生徒会長にしてくれないか? 堂々と、人の目を見て話せる、そんな生徒会長に」 「……はい?」  私が彼方さんの会長推薦者に? いやいや、そんなのあるわけ…… 「私は本気だよ? 私だって、克服できるなら克服してみせたい。でも、今までこんな相談したことなくてな……頼れるのは、今君しかいないんだよ。引き受けてくれないか?」 「別に、克服するにしても生徒会長になる必要は……」  そんな私の言い訳に、彼方さんは真面目な顔でこうやって返した。 「いや、生徒会長になって堂々と全校生徒にしゃべられるようになれば、誰も文句を言えないくらい、克服できたってことになるはずだ。自分の中で克服できたできないを判別するんじゃなくて、姿で示したいんだ」  その姿は、まさに憧れた人の姿だった。そして、そんな憧れの人のお手伝いをしたいと心から思った。 「……分かりました。全身全霊、会長推薦人としてお手伝いさせていただきます」  そう思った時、すでに言葉は口から出ていた。  そして、彼方さんもにこりと微笑む。     
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