3人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、なんでしょう? 私に出来ることならなんでもしますよ」
そして、彼方さんは衝撃の提案をする。
「私を本当の、堂々たるお嬢様にしてくれないか?」
「……と、言いますと?」
「会長推薦人として、私を生徒会長にしてくれないか? 堂々と、人の目を見て話せる、そんな生徒会長に」
「……はい?」
私が彼方さんの会長推薦者に? いやいや、そんなのあるわけ……
「私は本気だよ? 私だって、克服できるなら克服してみせたい。でも、今までこんな相談したことなくてな……頼れるのは、今君しかいないんだよ。引き受けてくれないか?」
「別に、克服するにしても生徒会長になる必要は……」
そんな私の言い訳に、彼方さんは真面目な顔でこうやって返した。
「いや、生徒会長になって堂々と全校生徒にしゃべられるようになれば、誰も文句を言えないくらい、克服できたってことになるはずだ。自分の中で克服できたできないを判別するんじゃなくて、姿で示したいんだ」
その姿は、まさに憧れた人の姿だった。そして、そんな憧れの人のお手伝いをしたいと心から思った。
「……分かりました。全身全霊、会長推薦人としてお手伝いさせていただきます」
そう思った時、すでに言葉は口から出ていた。
そして、彼方さんもにこりと微笑む。
最初のコメントを投稿しよう!