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Day1-Day2
あの出会いから二日後。ついに立候補受付が始まった。
「穂積さん、ごきげんよう。それに、大垣さんも」
受付会場である生徒会室の扉の前で、ちょうど部屋から出てきた四葉さんと、恐らく四葉さんの会長推薦人である女子生徒と出会った。
「いつも貴方と一緒にいらっしゃる方の中から推薦人は出すかと思ってましたが、意外な組み合わせですね。大垣さんとはご友人でしたの?」
なぜ四葉さんが私の名前を……とは思ったが、まあ聞くまでもないだろう。多分、生徒会長になる者なら、生徒全員の顔と名前くらい覚えてるといったことを言われるはずだ。
それに、今の私は彼方さんの会長推薦人。彼方さんを立てることが私の使命だ。彼方さんよりも先に口を出そうとは思わない。
「まあ、ちょっと色々と縁があってな。私を手伝ってくれることになった」
彼方さんがそう言い、私は小さくお辞儀する。
「でもまさか、本当に立候補なさるなんてね」
「……え?」
四葉さんのその言葉に、思わず私は声を出す。もしかして、彼方さんの秘密を知っているのか?
「高山家とは昔から親交があるからな」
私の声に含む疑問を察知し、彼方さんは答えを返す。どちらも名家だし、確かに親交が深くても疑問はない。だけど……そうか、私以外にも秘密を知っている人はいるんだ。
「これ以上は別に何も言いません。会長候補同士、正々堂々と戦いましょう」
「そうだな。一応言っておくが、私を陥れるような真似はするなよ?」
「うふふ、そんなことは致しません。それでは、お先に失礼します」
少々不穏な空気になりながらも、四葉さんは笑顔のままカーテシーを行い、後ろの推薦人――恐らく四葉さんの使用人なのだろう――も軽く会釈をし、その場を去っていった。
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