遥か彼方のシンビジウム(休載中)

Prologue

「生徒会長選挙？」

「はい！　彼方お嬢様は立候補されないのですか？」

　ふと廊下を歩いていると、彼方さんとその取り巻きの人が話している場面を目撃した。どうやら、明後日から立候補受付を開始する生徒会長選挙についての話をしているようだ。

　うちの学校は、1年生も生徒会長を選べるように、そして3年生は受験勉強に専念できるようにという目的で、5月に2年生を会長候補にして生徒会長選挙が行われる。この時点である程度特殊なやり方なのだが、更にこの学校の選挙で特殊なのが……

「彼方お嬢様、立候補されるときは是非この私を会長推薦人に！　全身全霊、副会長を務めさせていただきます！」

　この会長推薦人というシステム。他の学校でも推薦人というものはあるだろうが、恐らく選挙活動の補佐と応援演説をするくらいだと思う。うちはそれに加えて、当選した会長の推薦人はそのまま副会長になるというものがある。会長選挙とは言っているが、実際は会長と副会長のどちらも決めていることになる。