Prologue

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 そして、うちの生徒会は会長と副会長の2人だけで構成される。一応各委員長も生徒会役員ではあるのだが、実際"生徒会役員"と聞かれれば、生徒たちはその2人のみを思い浮かべる。だからこそ、会長は本当に信頼している一人だけを指名する。そのチームワークで、生徒会はつつがなく運営されていく、という寸法だ。  生徒会選挙が始まる前から、彼方さんはすでに次期会長として注目されている。そして、会長推薦人に誰を選ぶのかということも。  そんな彼方さんたちの会話に、ある人が割って話しかけてくる。 「あら穂積さん、ごきげんよう。生徒会長、立候補なさるのですか?」 「……ああ、高山(たかやま)か」  その会長推薦人の副会長候補として注目されているのが、この学校のもう一人のお嬢様、高山四葉(よつば)さん。彼方さんとは違って、まさにお嬢様という感じの人だ。  堂々たる彼方さんと優々たる四葉さん。この2人が生徒のトップならば、誰もがついてくるだろう。そのようにずっと言われている……のだが、四葉さんはそんな全校生徒の期待をすっぱりと切った。 「穂積さん、周りではわたくしが貴方の会長推薦人として相応しいというような、そういった期待がされているようですが、ここではっきりと言わせていただきます」 「なんだ?」 「わたくし、貴方に頼まれたとしても会長推薦人にはなりません。今回は、貴方と勝負しようと思いまして」 「勝負……? ということは、お前は会長に立候補するということか?」     
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