第一章 出会いの変奏曲

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「婆様もヤキが回ったな。俺様に限って、そんな事は天地がひっくり返ってもありえねえ」  女と付き合うことはある。だが、それは全て遊びの範疇だ。  お互いそいつは承知の上で、恋人ごっこをしばらく楽しむ。それ以上でもそれ以下でもない。  恋なんかに真剣になっちまってはおしまいだ。何のメリットもない。 「ようするに、火遊びはすんなってことね。肝に銘じておくよ」  ジンガラは軽い声でそう言うと、紙幣を一枚、老婆のタロットカードの上にパラリと置いた。  辻占いには払いすぎるくらいの金額だが、このところのヒットで懐はあったかい。
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