第一章 出会いの変奏曲

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 パッサカリアはフードの付いたコートを羽織り、狭いライブハウスの中で人に揉まれていた。  突然、ぱあん! と派手な破裂音が響き、もうもうとしたスモークをかきわけ大柄な男の影が近づいてきた。  まぶしいライトや、虹色の光の中に、白々と光る人間の頭蓋骨が次々に浮かび上がる。  耳をつんざくような爆音が鳴り止むと、今夜の主役・ジンガラが姿を現した。 「な、なんて汚、いや、ワイルドな男だろう!」  浅黒い肌に、彫りの深い顔立ち。ぎょろりと開いた眼には、挑戦的な光が宿っている。  癖のある黒髪を逆立て、顎にはうっすらと硬そうな無精髭が生えている。  袖を破り捨てた皮ジャンを素肌に引っかけ、ブーツは底が抜けている。
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