第一章 出会いの変奏曲

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 こいつらは、地獄に足を踏み入れた者たちの屍だぁ~!  ……俺様のコレクション、すばらしいだろう!  おぉおおお! と割れるような歓声。客は皆大声を上げ、腕を振りまわしすっかり興奮している。  音楽といえば、静かに椅子に腰掛け飲み物を傾けながら優雅に聴くものとばかり考えていたパッサカリアにとって、これは天地がひっくり返るほどの衝撃だった。  おどおどしている間にも、曲は始まっている。  俺様の~名を、言ってみろ~ッ!   ステージ上のジンガラが、マイクを観客席に向けると同時に。  ジンガラ・さ~ま~ッ!  客は一斉にジンガラの名を叫んだ。  ビートに乗せて足を踏み鳴らし、手を打ち鳴らし、興奮のあまり失神する者までいる。  ライブハウスは、異常空間となっていた。
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