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「北へお行き。いい出会いがあるだろうよ」
「いい出会い? そいつぁいい。金持ちのパトロンでも引っかかるのかねぇ?」
無精髭を片手で撫でながら、ジンガラは明るい声をあげた。金はいくらあっても困ることはない。
「いや、年貢の納め時、ということさ」
「何ィ?」
ついに、とっ捕まるってぇことか!?
ドラッグか? 食い逃げか? 最近は、どちらともやってないはずだが?
「生涯の伴侶が、見つかるだろうよ」
老婆の言葉に、ジンガラはぷぅと吹き出し、大声で笑った。
伴侶。
生涯の伴侶、だと!?
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