第一章 出会いの変奏曲

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「北へお行き。いい出会いがあるだろうよ」 「いい出会い? そいつぁいい。金持ちのパトロンでも引っかかるのかねぇ?」  無精髭を片手で撫でながら、ジンガラは明るい声をあげた。金はいくらあっても困ることはない。 「いや、年貢の納め時、ということさ」 「何ィ?」  ついに、とっ捕まるってぇことか!?   ドラッグか? 食い逃げか? 最近は、どちらともやってないはずだが? 「生涯の伴侶が、見つかるだろうよ」  老婆の言葉に、ジンガラはぷぅと吹き出し、大声で笑った。  伴侶。  生涯の伴侶、だと!?
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