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「お前は闘技場でコボルトに攻撃力増強の魔法をかけて大穴狙いをしたんだよな?そんな大胆なことを堂々とやってのけられるんだ。ワーウルフができるくらいには肝も座っているはずだろう?ま、いい加減腹をくくれよ」
笑いながらハインは言う。
「しかし、あの……」
ロミオがおそるおそる右手を上げる。
「どうした?」
「あの、私以前書物を読んでいたときに書いてあったんですけど、ワーウルフを倒すには確か銀の十字架が必要なはずです。それが無いことには……」
「銀の十字架はな、ここにある」
そう言ってハインは十字架を3人に見せる。
「でも、それだけでは駄目なはずです。信仰心の深い聖職者が捧げなければならないと……」
「お前がいるだろ?なぁ、ロミオ」
「は?」
ロミオは事態を飲み込めていない。
「目が点になっているな。確かにお前は破門になったかもしれない。でもそれはつい最近のことだ。まぁその……お前でもさ、その、一生懸命やれば何とかなるんじゃないか」
「はい?」
今まで理路整然とした語り口だったハインのこの唐突にユルい発言。ロミオは動揺を隠せない。
「じゃあもしも何ともならなかったら」
「何ともならなかったら、その時は力づくで何とかしろ」
「何とかしろって言われても……」
「なら勝手にするがいい。その代わりお前の衣食住の保証は一切できないがな。いやはや残念だ。これが達成できれば私が出した3つの条件以外にも国から報奨金が出るのにな。確か50万ゴー……」
「「「やります。やらせて下さい」」」
3人の目の色が変わった。
「よし決まったな。でも今日はもう遅い。ここで一晩休むことだ。明日支度金を渡すからそれで道具を揃えてから森に向かうといい」
ハインはそう言うと、3人のもとを去っていった。
かくして借金総額300万ゴールド、史上最凶の賭けクズパーティーが結成されたのである。
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