支度金

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 ロミオが手札を2枚チェンジした瞬間、瞳に光が宿るのを感じた。それもそのはず、もともとの手札はキングのスリーカード。そこにジョーカーを持ってきてフォーカードになったのだ。 ーーこの勝負は貰った。レイズを重ねてガッポリ行ってやろう!  とロミオは心の中でつぶやいた。  ディーラーはカードを1枚チェンジする。このパターンはツーペアから1枚変えてフルハウスを狙うパターンか、役が無い状態からストレートやフラッシュを狙うパターンが濃厚だ。どちらにしろフォーカードよりは弱い役の可能性が高い。ロミオはそう読んでいた。  場に出されているのはロミオとディーラーの30ゴールド分のチップ。他のプレイヤーはすでにフォールドしており、場には各プレイヤーがファーストベットしたチップが置かれている。 「レイズします」  ディーラーがさらに50ゴールド分のチップをさらに上乗せする。 ーー来たぞ!ここでコールすれば…… 「コ……」  ロミオが意気揚々と宣言しようとしたそのとき、 「お前何してんだ!」  後ろから聞こえる声。 「うるさいな!今大事なところなんです。話すなら後にしてください」  ロミオはディーラーの表情を凝視しながら後ろを振り返らずに答える。リュウは深くため息をつくとロミオの肩をガッと肩を掴んだ。
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