支度金

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「あの……」  口論を続けること5分。ディーラーの声で3人は我に返る。ふと周りを見ると、ポーカーのテーブルに座っている客がしらけた表情でこちらを眺めていた。 「レイズ、コール、フォールド、どうなさいます?」 「そりゃもちろん……」 「フォールド!この勝負、降ります」    コールをかけようとしたロミオの口を塞ぎ、ランディは降りる宣言をする! 「あ……」  ロミオがそうつぶやいた瞬間、30ゴールド分のチップはディーラーのもとへと回収されていった。 「何てことをしたんですか!せっかく勝てるところだったのに!」  ロミオはむくれた顔でランディに抗議する。 「100ゴールドが200ゴールドになるところだったんですよ?どう責任を……」 「ちなみにディーラーさんの手札はどうだったんですか?」  ランディがディーラーに尋ねると、 「本来ならマナー違反かも知れませんが……」  ディーラーは苦笑しながらも手札を見せてくれた。手札はそれぞれダイヤの5、6、7、8、9。ストレートフラッシュだ。フォーカードよりは格上の手役である。 「なるほど。これは本当に200ゴールドになるところだったのでしょうか?それとも、下手をしたら一文無しになるところだったのでしょうか?」  たっぷりと皮肉のこもったランディの言葉にロミオはぐうの音も出ず、押し黙ってしまった。
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