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「コール」
手持ちのチップ2000ゴールド分を目の前に、ロミオは自信満々に声をあげた。手札はダイヤのフラッシュ。負けは考えられない。相手は直前に3枚のカードを交換している。恐らくワンペア。良くてスリーカードだろう。
手札をオープンする。
相手のカードはAが2枚、10が2枚、ジョーカー1枚のフルハウス。手元のチップはすべて回収された。お城の下級兵士の給料およそ1か月分が一瞬にして泡と消えたのである。
ロミオは、オケラになった。
トボトボとロミオが教会に戻ると、いつも温厚なゲント司祭が悲しそうな顔をして正門前に立っていた。
「ロミオ、自分でしたことが何かわかっておるな?」
司祭は一言だけそう言うと、ロミオに衣類、バッグをすべて渡してきた。
ロミオの顔から血の気が引いていく。
「お前は破門だ。今すぐ立ち去れ」
「ちょっ、お待ちくださ……」
ロミオがそう言い終わる前に、冷たい音を立てて門は閉じられ、鍵がかけられた。
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