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役者は揃った!
薄暗い地下室の中央に置かれた1つのテーブル。そこには1本だけロウソクが立てられている。その光は4つの顔が照らし出していた。
「よし。これで役者が揃ったな」
兵士は明るい声でそう言った。リュウとランディ、そしてロミオはその兵士、自分自身をこの地下室に連れてきた張本人の顔を見つめる。
「俺はルナパレス王国の歩兵隊長をしているハインだ。ここに呼んだのはほかでもない。お前達を救ってやるためだ」
「救う?本当に助けてくれるんですか?」
ロミオは目の前に垂れている藁をも掴んでしまうような眼差しでハインを見つめる。ハインは首を縦に振った。
「ああ。二言は無い」
「助ける……ありがたい話のようには聞こえますが、具体的には何をして下さるのですか?」
ランディは怪訝そうな顔つきでそう尋ねる。
「まずは寝食の確保、それと必要あらば借金の棒引きの交渉にも立ち会おう。更に、お前達をルナパレス王国の役人として推挙してやる。国がつぶれぬ限り食い扶持は無くならないわけだ」
ロウソクの炎は自信たっぷりに、しかし淡々と話すハインの顔をゆらゆらと映し出している。
「願ったり叶ったりだな。早速……」
「ただし!」
ハインの大きな声がリュウの踊り気味の声を遮った。
「ただし条件がある」
ハインが再びそう告げたとき、3人はつばを飲み込んだ。
「この地図を見ろ」
ゆらゆらときらめくロウソクの光に照らされた地図を3人は凝視する。
「ここがルナパレス王国の城。そして今我々がいるのがこの城下町だ。そしてここ、城下町の北東に森があるだろう?」
そう言ってハインは地図の森を指差す。
「ここに住んでいるワーウルフを退治すること。これがお前らが救われるための条件だ」
「ちょっと待て。約束が違うじゃねぇか!」
リュウが怒りを露わにした。
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