第一章 月曜日の憂鬱

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『良かった。これでこの代も藤原家は安泰だ』 『本当に。このままではーーに渡るかと』 何?なんの話し? 何も真っ暗で見えないが、ざわざわと大人の話す声だけが聞こえる。 『既に相手は決めてある。後はーーを見つけるだけ』 『長く務めてもらうためにも、早く見つけて欲しいものだ』 何を見つけるの? 何故か所々よく聞こえない。 真っ暗な中でざわざわと声だけが聞こえるが、何故かその声がとても不快に感じた。 ふと側に人の気配を感じて驚いて横を見る。 そこには小さな男の子が俯いて正座をしていた。 俯いていているので顔は見えないが、膝に置いている小さな手はぎゅっと握りしめられ、小刻みに震えている。 またざわざわと声が聞こえ、その不快な声がこの男の子に向けられているものだとわかった。 『あぁ、この子はこの声に耐えているんだ』 再度必死に握りしめている男の子の手を見て、私はふつふつと怒りが湧いてきた。 何やら勝手な事を言っている相手に言い返してやりたい。 震えるこの子を守ってあげたい。 でも、何て言えばいいの? 私なんかが大人達に上手く言えるの? 未だ大人達の不快な声は消えない。 『酷い。この子が必死に耐えているのがわからないの?!』 だけど何を言い返して良いのかわからない。 だって本当はなんて言われているのかすら、きちんとわかっていないのだから。 声はどんどん大きくなる。 『このままじゃこの子が声に飲み込まれる!』 思わず男の子を抱きしめようと、私は手を伸ばした。
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