1075人が本棚に入れています
本棚に追加
/299ページ
「今、藤原は家にいるんですよね?」
「はい。合鍵は持っているのですが、結界が張られて入れませんでした」
「先生は、私ならそんな中にも入れて、藤原が私の言葉を聞くとでも思っているんですか?」
「はい」
「藤原は、私が加茂君に酷い事をしないでとあんなに言ったのに、聞かなかったじゃないですか」
「いえ、聞きましたよ」
「聞いてないですよ!」
なんで未だに葛木先生は勘違いをしているのだろう。
「あなたが『大嫌い』と言って、止めたじゃないですか」
私はその何の抑揚もない言葉を聞いて、びくりとした。
「責めているんじゃありません。
あなたの言葉は、光明にとっては重い、ということなんです」
「また私は『特別』ですか?
さすがに先生、思い込みすぎですよ」
「いえ、光明自身が気がついていないだけです。
私はずっとあの子の側で見てきているのですから。
だから、あなたじゃなければもう助けられないんです」
最初のコメントを投稿しよう!