第一章 月曜日の憂鬱

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学園から寮まではそう遠くない。 歩いて15分くらいの道のりだ。 でも私の身体を気にして、葛木先生は私の荷物を持った上でゆっくりと私に合わせて歩いてくれる。 大好きな先生が側に居るというのに、思い浮かぶのは藤原のあの表情。 「どうしました?」 ふいに葛木先生に声をかけられた。 「あの、藤原・・・・・・先生は、本当に大丈夫なんでしょうか・・・・・・」 私の問いかけを聞くと、 葛木先生が突然立ち止まった。 「先生?」 「貴女は・・・・・・光明をどう思いますか?」 「えっ?」 予想もしていない質問に私はびっくりして先生を見た。 「どういう風に感じますか?」 とても真面目な顔で先生は聞いてくる。 でも、なんでこんな事を突然聞くの? もしかして私が藤原を好きだと勘違いさせてしまったのだろうか。 私は急に焦ってきた。 「もしかして、藤原の事、私が好きだと勘違いしてますか? 違いますよ!私、他に好きな人いますから!」 一気に力強く言った後、余計な一言を付け加えたことに気がついた。 わざわざ好きな人がいるなんて言わなくても良かったのに! 「好きな人が、いるんですか?」 驚いたような顔で見つめてくる先生に私はどう返したら良いのだろう。 そうです、目の前の人が好きな人なんですが、なんて返せるわけがない。 「はい、います。無理ですけど」 「無理?相手はアイドルとかですか?」 「まぁ、似たようなもんです」 心底不思議そうに聞いてくる先生に、私は思わず苦笑いを浮かべた。 けど、先生はまた考え込んだように黙り込んでしまった。 「先生?」 「・・・・・貴女にお願いがあるんです」 しばらくして、先生はまっすぐ私を見て言った。 その目は見たこともないほど力強い。 「今度の日曜日の夜、私とある場所に付き合ってくれませんか?」
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