第一章 月曜日の憂鬱

17/36
前へ
/299ページ
次へ
日曜日の夜の0時前、寮の薄暗くなった入り口で待っていると一台の黒い車が前に停まり、運転席から葛木先生が出てきた。 「こんばんは。こんな時間にすみません。 外出許可は得ていますから安心して下さい。 眠くはないですか?」 「はい、ちょっと寝たので大丈夫です・・・・・。 それでどこに行くんですか?」 葛木先生が開けてくれた助手席に乗り込みシートベルトをする。 「こんな事を言うのも何なのですが、私を信頼して任せてはもらえませんか?」 まっすぐに見つめる葛木先生の言葉は、ようは深く聞かないで欲しいというという意味だとわかった。 「わかりました。 でも私には訳がわかりません。 後で全部説明してくれますか?」 「私は出来るだけ話したいと思っています。 でも少しだけ時間を下さい」 私の返答を聞くまでもなく、先生は前を向いて車を発進させた。 高速を乗り継ぎ、見えてきたのは久しぶりのビル灯りの眩しい都心だった。 そして車は大きな堀に沿って走り、ある門の前に止まった。 そこにいる警官らしき人達が運転席に近づいてくる。 先生は窓を開け、何か見せた後小さな声で話すと対応していた警察官が合図を送り門が開いた。 そこを車は進む。 少し進んだ先にぽっか りと広がった場所があり、そこに車は停まった。 あぁそうか、ここは皇居の中だ。 普通の人がこんなところに夜入れるものなのだろうか。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1084人が本棚に入れています
本棚に追加