第一章 月曜日の憂鬱

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「少し歩きますが着いてきて下さい」 私は頷くと車を降りた。 そしてきょろきょろと周囲を見渡す。 車はこの一台だけ、人も誰もいない。 周囲は緑もあって静かだ。 なのになんだろうかこの変な感じは。 妙な顔をしていたのだろうか、 葛木先生が私の顔を見て声をかけた。 「気になりますか?」 「何か、あるんですか?」 「着いたらわかると思います」 いたって静かな葛木先生に私は少し怖くなった。 だが、その何かが気になって先生がつけた懐中電灯を頼りに薄暗い道を進む。 すると少し開けた場所に出て、目の前には小高い丘が見えた。 その小高い丘の上では松明が焚かれ、 かなりの人がいるのがわかった。 その明かりがここまで照らしているせいか、 自分の足下がわかるくらいに明るい。 「見えますか?」 「はい・・・・・・人が沢山いるみたいですが」 「それだけですか?」 まるで試すかのように聞こえてカチンときた。 何もかもがさっぱり分からないっていうのに。 「他に何があるんですか? というかほんと何なんですか?! さっぱりわかんないです!」 私はさすがに苛立ってきていた。 質問するな、でもわかるな?なんて身勝手にもほどがある。 こっちはただの高校生で訳も分からず引っ張られてきたのに。 「すみません。東雲さんが怒るのも当然ですよね」 急に謝られてて思わず、 いえ、なんて答えてしまった。
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