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「実は私お金持って無くて、お土産代出したの藤原なんですけど。
なので実質は藤原からのお土産です」
「光明が私にと言ったんですか?」
「いえ、私が選んだんですけど出すのには凄く不満げでした」
苦笑いする彼女にそうだろうと納得する。
彼女が買っていきたいというのを、光明が渋々応じたのだろう。
彼女の願いに諦めて従っている光明を想像して笑みが浮かぶ。
嬉しさでこれからしなければならない事を忘れそうになり、私は気を引き締める。
私は席を立ち彼女の側に行くと、深く頭を下げた。
「この度は私の勝手な願いを聞いてくれて、あの子をこちらに戻してくれてありがとうございます。
怖い思いもしたでしょう、本当に申し訳ありませんでした」
じっと頭を下げたままで待つ。
彼女からの言葉はない。
やはり彼女は本心では私を嫌ったのだろう。
東雲さんを怯えさせたと光明は言った。
何も起きないと言って送り出して、実際は何か起きたのだろう。
でもそんな事をした光明と出かけ、二人の関係は良い方向に変化した。
もうそれだけで十分に思えた。
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