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「わかってないんですね。
藤原は誰も傷つけたくなかったのに、それをコントロール出来ない状態だと理解しているはずの葛木先生が私をよこして、結果的に私を危険にさらしたことに酷く傷ついていると思います」
彼女の声も表情も、静かな怒りに満ちていた。
自分が危険にさらされたことではなく、光明をこうやって心配している事にただ驚く。
そんな視点など、私は持っていなかった。
「・・・・・・先生は、本当に藤原の味方ですか?」
真っ直ぐ問い詰める声に思わず息を呑む。
何故そんな当然の質問を。
私の行動を見ていればわかるはずなのに。
「もちろんです!いつも光明を一番に思っています!」
「じゃぁその想いの在り方が間違ってるんですね」
「それは・・・・・・どういう事ですか?」
「藤原が私は巫女じゃない理由を教えてくれました」
光明からは今までどうやって巫女を選ぶか詳しい理由など聞いたことが無い。
長が選ぶ、という事以外は知らないのだ。
その理由を彼女にだけは話したのか。
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