従者

15/24
前へ
/299ページ
次へ
「・・・・・・貴女は陰陽師の世界を知らないですから」 「だからこそ見えるものだってあると思います」 そうだ、彼女は知らないからそんなことを言うのだ。 あの京都側にすら安倍晴明の再来と言わしめた光明。 光明が何かを成し遂げる度、周囲がひれ伏していくのをずっと側で見てきた。 東京の陰陽師の長がそんなにも強く素晴らしい存在で、自分がその側近としていることが誇らしかった。 彼女が巫女であったとしてもまだ高校生。 長が強く存在するその意義を理解出来るはずもない。 「先生が、長としての藤原を維持することにしか頭にないのなら、信用出来ない」 だが彼女から向けられたものは、酷く冷たい目だった。 初めて彼女から向けられた敵意に私はどうしていいかわからない。 「何か誤解をしているのでは」 「先生は本音では巫女がいて欲しいんでしょう?」 「それは・・・・・・」 「藤原が無くしたいと行動してるのを側で見ているのに」 冷たい視線に絶えられず、私は少し顔を背けた。 そうだ、今回の事で痛いほど巫女の重要性を味わった。 光明は無くそうとしていても、きっと無くすことは出来ない、私はそうたかをくくっているのかもしれない。 光明も巫女がいて良かったと思う日が来るのではないだろうかと。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1082人が本棚に入れています
本棚に追加