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私は立ち上がり、彼女の座る席の隣りに行き、片膝を地面につき、もう一方の片膝を立てて、彼女を見上げた。
「巫女、私にそう命じては頂けませんか?」
この人から命が欲しい。
陰陽師としての血が欲っしているのかはわからない。
自然と身体が動き、高貴にすら感じられる巫女を見上げる。
どうか私を見て欲しい、私を認めて欲しい。
今まで味わったことのない感情がわき起こり、それに酔いしれそうになる。
だが彼女は眉間に皺を寄せると、おもむろに席を立ち、椅子をどかすと私に向かい合うように床に正座した。
「な、何を」
巫女がなんてことを、とうろたえたその時、彼女の手が私の両頬をふわりと包む。
その瞬間、全身に雷が走った。
「葛木先生、私は東雲ゆいです。ただの高校生です。
私を、ちゃんと見て」
彼女の瞳が私の全てを射貫く。
急に全身の力が抜け、私は崩れるように項垂れた。
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