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「どんな相手?同族?」
「誤解しているようですが、そういう相手ではありませんよ?」
「もしかしてさっき、ホテルでも探していたのか?」
土曜日だけでなく、日曜日の午前中まで予定を入れないようにしたのだ、それは簡単に泊まりであることがわかる。
にやにやと面白がっている光明に、誠太郎は内心ため息をついた。
光明は鋭く頭がいい。
ただ、こと自分の事に関してはお約束のように鈍感ではあるが。
そんな光明が初めて特別視した相手と二人だけで食事に行くだなんて、口が裂けても言えない。
そうは思いつつ、それを言ったらどんな反応をするだろうか、という興味を少しだけ持ってしまった誠太郎は、自分の性格の悪さを再認識していた。
「さて、打ち合わせは終わりましたね?
まだ私は仕事があるので光明は戻ってはどうですか?」
あからさまに遠ざけようとしている誠太郎に、光明はそこまで本気の相手なのかと感心した。
「そうだな、戻るとするか。
・・・・・上手く行くと良いな」
光明は優しい笑みを浮かべてそう言うと、部屋を出て行った。
「上手くいって困るのはあなたでしょうに」
きっと心からそう思って言った光明に、誠太郎は罪悪感と共に、少しだけ不思議と優越感を感じてしまった自分に苦笑いを浮かべ、再度パソコンを開いた。
END
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