この楽しき祭りにてーSide Aー

5/18
前へ
/299ページ
次へ
「いやーだって、黒髪眼鏡の知的メイドなんて王道でしょう!」 三人の会話に、突然加茂君がドヤ顔で入ってきてそう言うと、塔子の眉間の皺が深くなり、私と実咲は同時にびくついた。 「で、加茂君はメイド喫茶なのに執事やるんだ」 「そりゃー、僕がいれば宣伝になるデショ」 私のツッコミに、至極当然のように加茂君は胸を張った。 そんな加茂君を見て笑ってしまう。 「塔子のメイド姿と加茂君の執事姿、楽しみだなぁ」 私がそう言うと、加茂君はぱあっと顔をほころばせた。 「ゆいちゃん!僕はあなた専用の執事になりたいっ!」 「はいはい、セクハラで解雇、と」 加茂君が座ってる私の後ろからぎゅーと抱きつくと、目の前に座っている実咲がじと目でそう言った。 実咲ちゃんがいじめるー!と嘆く加茂君を、私は苦笑いしながら頭を撫でて慰めた。 そんな私達を呆れた顔で塔子が見ている。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1082人が本棚に入れています
本棚に追加