第一章 月曜日の憂鬱

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こんな事が始まったのは、約2ヶ月前に行った鎌倉で行われた社会見学での事だった。 買い物タイムと言うことで実咲や塔子達と別れ一人うろうろしていたら、小さな公園のベンチに藤原が真っ青な顔で1人座っているのをみつけ、思わず声をかけた。 声をかけたのにあまり元気が無い。 もしかして熱があるのかと咄嗟に手を額に当てたのだが、その時藤原は目を見開いて私の顔をまじまじと見たかと思うと俯いた。 「やっぱり誰か先生を」 「東雲ゆい、だったか」 「あ、はい」 授業は習っていたがそんなに話したことも無いのに、名前をフルネームで覚えてくれていたことに少し嬉しい気分になった。 「すまない。体調が良くないんだ。 少しだけ隣りに居てくれ」 と藤原は一方的に言ったかと思うと、私の肩にもたれかかりあっという間に寝てしまったのだ。 寝息を立てながら思い切り寝てしまって、今日の日のために用意した私の可愛い洋服にヨダレを落とされたことは、未だに根に持っているけれど。
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