第一章 月曜日の憂鬱

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まぁそれはだいぶ慣れたのだが、私の一番の楽しみは別にあったりする。 時計を見てそろそろかな、なんて思う自分がちょっと恥ずかしい。 ふいにドアを軽くノックする音がして、私はどきりと、ゆっくりと開くドアを見た。 「お疲れ様。 お菓子持ってきましたよ」 紙袋を少しかかげて優しい笑顔で入ってきたのは、わが高校で一番人気の葛木先生だ。 お疲れ様ですなんて返事をしながら、大好きな先生の登場につい頬がゆるんでしまう。 例の社会科見学の時、藤原に横で眠られ身動きも取れず、何より誰かに見られたらとびくびくしていた私を助けてくれたのが葛木先生だ。 すらりとした高身長、顔立ちもこれまた上品で、女子達からは王子と呼ばれている。 本当に良いところの跡取りという噂もあるが、むしろただの高校教師よりその方が納得だ。 最初はミーハーにカッコイイ!と思うくらいだったが、あの一件以後話しをする機会も増え、 優しい葛木先生に想いを寄せるにはそんなに時間はかからなかった。 だからこうやって葛木先生とお近づきになれたことは、素直に藤原へ感謝すべきだろう。
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