1-2. アウトロマンサー

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「あながち間違ってはいないわ。不当な武力行使と判断されないように、あらかじめ諸国に正当な理由であると認めさせた上で、軍事的方法で独立するのが、国際的に正当な方法で独立する唯一の方法って事」  現実に居合わせていたら息苦しくなりそうな程のため息が集まった。  沙織が手を叩いて注目を集める。 「はいはい、時間になったし、ミーティングを始めよ。まずは私、南関東地区からだけど、アコール規制派の鎌田洋平が五年前にアコールの愛人を作ってた件について、裏が取れたんでリークしました」 「よっ、男の敵サオリン!」  四方から歓声が上がる。 「陸君、情報ありがと」 「残念ながら全国ニュースにはなっていないですけど、議員達の間ではかなり問題になっているようですよ」  陸と呼ばれた円い眼鏡をかけた優男が答え、さらに報告を続ける。 「続けて北関東地区です。アコール規制派の市村氏が婚活パーティ業者から賄賂をもらっていた件について、市村氏が議員を辞職しました」 「やっとか。だいぶねばったな」  私は感想を口にした。テレビでも取り上げられており、地元住民はかなり怒っていたそうだが、本人は否定して議員を続けていた。 「同じ会派の議員が背中を押したという噂もあります。尻尾切りといいますか、大事な時期に評判を落としたくなかったのでしょう」  陸が補足した。     
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