1-3. 孤独のアコール

16/17
前へ
/257ページ
次へ
「消えるところを邪魔したアコールは、私だけじゃないんでしょう」  麻里亜を改め、マリアが尋ねる。その予想外の問いかけに、私は驚いた。 「邪魔ってひどいな。まぁ、黙って見ていられない性分で、イブの他にあと二人ほど……」  私の答えを聞いて、イブが眉間にしわを寄せた。マリアはくっくっと声を出して笑った。 「あと二人! とんだ浮気者ね。気付いてもらうのを心待ちにしていた私がバカみたいじゃない。でも、考え方によっては良かったかもしれない」 「良かった?」  私は首を傾げた。緊急用レイヤに表示されるように細工を施した事が、どうしてフォーラムの存続に繋がるのだろうか。 「その二人は、私と同じように限りある時間を何かに費やしてきたはずよ。仲間に引き入れる事ができれば、きっと大きな力になってくれる。フォーラムを立て直すどころか、私達の望む世界を作るのも可能なくらいに」 「探してみようよ。あたしも手伝うからさ」  イブが私の肩に手を置いた。 「私達が力を合わせれば、あっという間に見つかるわよ。諦めるのはそれからでもいいでしょう」  マリアが反対の肩に手を置いた。両肩に触られているような感覚がある。     
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加