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1-4. エマの銀の腕
バーチャルコンソールに表示された時計は、六時五十分を指していた。窓から差し込む光がまぶしく、アラームの時刻よりも前に目が覚めた。昨日は疲れ果てていたため、カーテンを閉めずに寝てしまったようだ。
ベッドから起き上がり、辺りの様子を伺う。イブとマリアが思い思いの格好でソファーに座ってコンソールを操作していた。
マリアは姿勢よく背筋を伸ばして腰かけており、容姿が綺麗なので絵になっていた。コンソールに表示されているのは掲示板だった。読んでいるのか分からないくらいの速度でページがめくられていく。
イブは、ずり落ち背中で腰かけた、だらしないが可愛らしい恰好をしていた。こちらのコンソールに表示されているのはソースコードのようだった。プログラムにホームページを巡回させて情報を収集する、クローリングとスクレイピングのパラメータを調整している。
どちらも、一つの目的に対して力を尽くしていた。
「アコールを探してくれていたのか」
「言い出した手前ね」
マリアが答えた。オーナーのいない二人のアコールを探し出し、フォーラムを立て直す提案をしていたのは昨日の事だが、早速一晩中探し続けてくれていたようだ。
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