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マリアは残念そうに視線を落として、掲示板を検索する作業に戻った。彼女はこうしてコンソールをスクロールし続け、知識を吸収していたのだろうか。
「純粋な興味だけどさ。人の心を理解する上で、何が一番大変だった?」
意外な質問だったようで、眉間にしわを作った顔を上げた。
「欲求が理解できなかった事かしら。食事も、睡眠も、セックスも、私達には縁の無いものだから」
「なるほど。人間の行動原理に等しい三大欲求が無いのは、だいぶ高いハードルになりそうだな」
あのクールなマリアから飛び出した刺激的な言葉に、若干動揺しながらも感想を返した。彼女は再び視線を落としていたが、コンソールを触る手は止まっていた。
「――興味はあるけど」
「え?」
聞き返したのはイブと同時だった。
「健斗が好きなら、それを知っても良いと思うのよね」
「ちょっとマリアちゃん。フォーラムの時とはずいぶん違って、うちに来てからグイグイ行きすぎじゃないかな」
イブは眉間をひくつかせている。
「それは、気付いてもらうまでは他人を貫こうと意地を張っていたから。でも健斗に記憶が戻った今、遠慮する必要も無いでしょう
「あるよ。あたしが健斗のアコールなんだから」
どんどん険悪な雰囲気になりそうだったので、口を挟んだ。
「イブはアコールがいそうな場所を見つけられたのか?」
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