#1 セッション

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 あいつは私以上にのんき者の面倒くさがりだったので、やはり就活なんかもしておらず、ともに仲良くフリーターとなった。シフト制だけど、むこうの休みは土日が多くて、こちらはもっぱら平日のすれ違い。家事は分担せず、休日にそれぞれがやっていた。私の場合はたいてい昼ごろ起きて、たまった洗濯物を処理して、あとはダラダラ。  こんな暮らしは世間からみて、あまり褒められたものじゃないのかもしれない。だらしなくて、いいかげんで、目先にばかり翻弄されて。苦労せず金持ちになりたいけれど、そんな頭もスキルもないから、嘘みたいな奇跡が起こってくれないかなぁ、なんて都合のいい妄想をしながら、とりあえず仕事して。楽しいことがあったとしても、すぐ現実に嫌気がさして。  そんなことを飽きもせずくり返して四年目に突入した、珍しく二人一緒の休日。先に目が覚めた私はシングル布団の足もとにあぐらをかき、開けはなった窓辺で五月晴れのうららかな陽気をうけてボーッと煙草をふかしていた。近隣住民も下の大家もゴリゴリの喫煙者。煙害だなんだと問題になりやすい昨今において非常に恵まれた環境だ。     
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