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「ねえ、あなた。最近どうして毎日帰りが遅いの?」
真理子は朝のトーストにバターを塗りながら夫に尋ねた。
夫は真理子の淹れた珈琲を味わいながら新聞を読んでいる。
そして妻からの質問には、すぐには答えようとしない。
トーストを食べて、ハムに刻んだキャベツをくるんで口に入れる。
どうだ。
俺は今、食べる事で必死だから喋れないんだぞというポーズであった。
真理子は勿論、夫の豪快な食べっぷりには昔から惚れ惚れしているし、あれこれ詮索する鬱陶しい嫁になりたい訳でもなかった。
しかし黙認もしづらかった。
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