12/18
前へ
/18ページ
次へ
「くっそ、バーカ!!エロ吸血鬼ーーー!!」 「ほう・・・もしかして、それは僕のことかな?」 「うぇぇえ!!」 背後から低い声が聞こえ、驚きで声がひっくり返る。 振り返ればそこには黒づくめの男の姿。 思考の波に飲まれ、いつもなら気付くはずの気配に反応できなかった。 明らかに不機嫌な表情のまま一歩踏み出される。 「う"・・・」 「・・・・・・」 思わず一歩下がれば、目の前の男の空気がさらに険しくなった・・・気がする。 ユラリ・・・と殺気にも似た空気を身に纏う男に、背中に冷たい汗が流れた。 なんだよ! 何であんたが怒ってんだ! 怒ってるのは俺の方だかんな!! 「「・・・・・・」」 互いに無言のまま睨みあう。 やがて先に口を開いたのは男のほうだった。 「・・・何で逃げたの」 「え・・・?」 「僕からどうして逃げたのかを聞いている。」 「そ、それは・・・」 「・・・・・・」 絶体絶命、まさに蛇に睨まれた蛙状態。 静かに見つめてくる瞳は『説明しろ』と無言の圧力をかけてくる。 「・・・だった、、よ・・・」 「は?」 小さくボソボソ・・・と呟けば、寄せられる眉。 相変わらず不機嫌な顔のまま聞き返されるのに、悲しさよりも怒りのほうが勝った。 ダンッ!! 「!?」 「だから!嫌だったんだよ!!喰うなら俺にしろよ!」 地を蹴って飛び掛かると同時に足を払い、そのままの勢いで固い地面に男の身体を倒す。 両手首を押さえつけ馬乗りになると漆黒の瞳が大きく見開かれたー。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加