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「だから!嫌だったんだよ!!喰うなら俺にしろよ!」 足を凪ぎ払われ視界がグルッと反転する。 身体に走る衝撃。 そして彼の口から発せられた言葉に、少なからず驚かされた。 「そりゃ・・・俺みたいな男なんかより、人間の女のほうが旨いのかもしれないけど。けど俺の血だって、あんたいつも旨そうに飲むじゃんか。腹が減ったんなら俺のところに来いよ!」 早口でそう告げるとクシャッと顔を歪める。 どこか苦しそうなその表情に、先程まで感じていた苛立ちが小さくなっていく。 「だいたい何だよ、何日も姿を見せないで。俺、待ってたのに。あんたが現れるのを毎晩バカみたいに。なのにあんな・・・くそっ!」 「・・・っ、ん・・・」 唇に熱い感触。 乱暴に重なるそれが唇を噛む。 その仕草に僅かに口を開けば直ぐ様差し込まれる舌。 濡れた舌が蠢き、舌の根に絡む。 チュクッ・・・ 水音が響き、彼の口に吸い込まれていく。 つまりこの狼は、僕の『食事』している光景に嫉妬したということか・・・ 「っ!」 好き勝手に動く舌を軽く噛んでみる。 驚いたのか一瞬動きを止めたかと思えば、また執拗に絡まるそれ。 ・・・ほんと、バカな狼だな。 ただの食事に妬いて、寂しがって。 でもこんな風に真っ直ぐに気持ちをぶつけられるのは・・・正直、悪くない。 一頻り口腔内を味わうと、チュッ・・・と音を響かせ離れていく唇。 どちらのものともつかない唾液が糸を引き、プツリと切れた。
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