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「・・・・勘弁してくれ・・・」
はぁぁ・・・
大きな溜め息が溢れる。
バカだとは思っていたが、まさかここまでバカだとは・・・
僕が全部言わないといけないのか?
冗談じゃない。
ここまで素直になるのにどれだけプライドを捨てたと思っている。
「何だよ!教えろよ!」
「自分で考えろ・・・この、阿呆が!!」
思わず大声で一喝すれば、アーモンド型の瞳が大きく見開かれた。
「分かった。なら自分で考える。」
「・・・・どうしてそんな嬉しそうにしてる。」
ニコニコと笑顔で言うのに眉を寄せれば「だって」と彼は抱き着いてきた。
「あんたがそうやって怒鳴るの初めてだ。いつもクールな吸血鬼がそんな表情。嬉しいに決まってる。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ギュウギュウと抱き着いてくるのにもう一度大きく溜め息を吐いた。
調子狂う。
バカで、阿呆で、ガキで・・・僕を揺さぶる天才。
仕方ないな。
そんな狼男に惹かれた自分の負けなのだろう。
だから・・・
「・・・・・・・・・・・・」
「え・・・」
抱き着いてくる身体に腕を回し、ソッと耳元に口を寄せる。
そうして小さく呟いた言葉に、彼は弾かれたように顔を上げたー。
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