66人が本棚に入れています
本棚に追加
雨音と雷鳴に意識が浮上する。
「・・・・・・」
隣で眠る狼男は穏やかな寝息を立て、離さないとばかりに胸元を掴んでいる。
『あんたと生きていきたい』
あの日聞いた言葉はこうして現実となり、寝食を共にするようになった。
吸血鬼の『食事』はここではできないが、彼が寄越す森の生き物の肉は案外悪くない・・・と、以前の自分なら考えもしなかったことを思う。
髪の色とは異なった狼の耳が雷鳴に反応してピクッと動くのが・・・悪くない。
「・・・ん、はよー・・・」
視線に気付いたのか、ゆっくりと覚醒した彼がフニャッと笑った。
同時に胸元に擦り寄ってくると、そのまま唇を重ねてくる。
自然なその口付けに思わず眉が寄る。
「君さ、手慣れてるよね。」
「あ?何が?」
「・・・生意気」
「いだだだ・・・んだよ!」
何となく面白くなくて鼻を摘まめばキャンキャンと喚く。
それに少し満足してニッと笑えばプイッと視線を反らした。
その耳が赤く染まっていることにさらに笑みが深くなった。
「夜、闇おいで。」
主人が呼んだことで二匹の狼が体を擦り付け甘える。
「!!」
その光景を体を起こして眺め、思わず目を見張った。
「ん、お前達もおはよう。」
チュッ、チュッ
可愛いリップ音と共に、交互に口付けを落とす狼男。
しかも、口・・・だと!?
「外、凄い雨と雷だな・・・って、何!?何だよ!」
手首を掴み引き寄せると、そのままベッドに縫い付けた。
「んだよ!?目がこえぇよ!」
「・・・いい度胸だ。」
「何が?」
「犬っころと同じ扱いが二度と出来ないように、その身体にしっかり刻んでやる。」
「は?え、ンンッ・・・!」
戸惑う彼の唇を自分のそれで塞ぐ。
薄く開かれた隙間から舌を差し込み熱く絡める。
やがて大人しくなった彼が腕を首に巻き付けてくるのに満足し、ゆっくりと唇を離し見つめた。
「どうする?起きるか?」
「冗談、続けるに決まってんじゃん。」
嬉しそうな言葉と共に重ねてくる唇。
その態度に笑みを落とし、彼の下肢に手を伸ばしたー。
最初のコメントを投稿しよう!