見てはいけない電話口

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 元の体に戻れたのなら、やり直したいこともある。 『先ずは、今朝、お母さんが拵えてくれたお弁当が美味しかったと改めて言いたいわ』 『それは、いいことだね。俺は、塾をサボリーマンになっていることへの謝罪かな』  ここは、さほど寒くない。  ふわり。  ゆらり。  静かに朝日を待つと、私は机の上で、目を覚ました。  どたどたと競ったようにカーブに気を付けて階段を降りる。 「お母さん、お弁当、毎日美味しいよ! 美味しいの」  お母さんは、優しく頭を撫でてくれた。  通学路で、肩を叩かれる。 「よ。美々! 今日もおつかれーしょん!」  ポケットから、うさぎさんのハンカチを取り出す。  あれ?  電話がないよ……。  あっくん、ハンカチで顔を覆ったのは、内緒です。  空を見上げれば、雲一つない、晴!     
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