第1話 死地に入るのも君が為

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「いいねぇ2人とも 新人らしいフレッシュさだ まぁ そのうち慣れるでしょう それで2人はコーヒー? 紅茶? それとも緑茶?」 「いえ 結構です 喉の渇きは感じていないので」 「まぁまぁ つきあいと思って 一杯どうぞ 飲んだって少しも損しないしさ」 「……では 緑茶でお願いします」 「わかるなぁ! やっぱり日本では緑茶だよね! 背がちっこい きみは?」 「5-135……いえっ ブリオーニですっ!」  あたしと話す声より少し━━ ほんの少しだけ 声が高く『かわいく』なってない? 身振り手振りだって 妙に大げさに見えるしさ。 「あはは コードネームは慣れないよねぇ 僕らにとっては 覚えやすくて助かるんだけど」 「学校卒業の時にもらって驚いちゃいましたっ けど コードネームで呼び合うなんてカッコいいですよねっ! あたしでも 軍人さんになれたんだってうれしいですっ!」  少しして、彼女が質問をおもいだした。 「あぁっ! すみませんっ! あたしも緑……うぅ すみません コーヒー派なんですぅ……」 「コーヒー! やっぱ飲み物の王様が1番だよねぇ 待っててね? 今作っちゃうから……さ!」  雑なコメントを口にして、支部長 パチンと指を鳴らす。 目の前に 突然現れるマグカップ2つ。 中身はもちろん緑茶とコーヒー。湯気も砂糖も抜かりない。 「えぇぇ!? すごいですっ!」 「うわ 嬉しいなぁ! そんな純粋な反応ひさしぶりだよぉ!」  支部長を 見つめる瞳が輝きはじめる。 その光で照らされる支部長。満更でもなさそう。
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