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「それって『転移』ですよねっ!」
笑顔がいきなり固まる支部長。
沈黙が 部屋全体を支配する。
「え バレてたの?
……隣の部屋で事前に用意してたんだよね 秘書が」
そうなんだ。
マジに一瞬で作ったのかと。
悲しい顔を隠そうとしない支部長。
「で……でもでも すごいですっ!
回復以外の異能って あんまり見たことないですしっ!」
「そういえば そうだね
周りもみんな回復系で 似たような内容だった」
「若い世代の『顕現鉱石』は 首都から離れているからねぇ
ここらで取れる有用なものとなると どうしても偏るんだよね」
「顕現鉱石……
たしか 生まれたばかりの子供の異能を引き出すっていう」
「そうそう 学校で何度も聞いたかな?
君たち 異能者を作るのに なくてはならないモノだ」
「はいっ! 何度も何度も聞かされましたっ!
首都から離れるほど 帯びる魔力が少なくなるんですよねっ!」
「そうなんだよ! いやぁ2人は優秀だねぇ
『怪異』の話も聞いたよね? 僕らが首都から離れた要因の」
「……はい
100年前 首都へ突然あらわれたんですよね」
「そうそう
殺戮をくりかえし 吐息で土地を腐らせる『モノ』それが怪異さ
群れをつくることはないが 食事も酸素も必要ない……
あたりが暗くなれば活動をやめ 近づかないかぎり襲われない
逆にいえば 休みなく戦うことができるってわけだが
生物でありながら 生物の抱える弱点を全て克服したような存在でね
まさしく『怪異』と呼ぶのがふさわしい」
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