第1話 死地に入るのも君が為

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「まぁ 最初はみんな怖いよね ところで 2人の情報はっと……」  あたしの気持ちを知ってか知らずか。 支部長が 話題を変えて ファイルを取りだす。 「ん……あった! えぇと ブリオーニちゃんは……『整調』かぁ」  背表紙には『第5世代』の文字。 回復特化の第5世代。 他に比べてファイルが厚い。 質よりも量をとった結果らしい。 「はい…… もっと戦いに向いた能力が良かったんですけどぉ……」 「いやいや アタリの異能だよ! 調子が悪いと万全の戦いができないからねぇ 長旅になくてはならない! ま 地味だけど」 「うぅ……」  言い放たれた「地味」のひとこと。 露骨なほどに ショックを受けるブリオーニ。 「で アティピコちゃんは……ふーん 実技トップだったんだ?」 「えぇっ!? そうなのっ!? すごいねーっ!」  少し こそばゆい気持ちを抑え 無表情で頷く。 『第5世代』の中ではあるけど 優秀な『個体』としてみられるのは嬉しかった。 「そっかそっかー それで 異能の方は━━」  これからも 優秀な『個体』として目立たなきゃ。 自分の腰から拳銃を抜き 最短ルートでこめかみへ。 「これが 異能(あたし)です」  引き金は重く 硬かった。 これから来る痛みも ほんの少しだけ怖かった。  だけどあたしは 『個体』でいたい。
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