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「まぁ 最初はみんな怖いよね
ところで 2人の情報はっと……」
あたしの気持ちを知ってか知らずか。
支部長が 話題を変えて ファイルを取りだす。
「ん……あった!
えぇと ブリオーニちゃんは……『整調』かぁ」
背表紙には『第5世代』の文字。
回復特化の第5世代。 他に比べてファイルが厚い。
質よりも量をとった結果らしい。
「はい……
もっと戦いに向いた能力が良かったんですけどぉ……」
「いやいや アタリの異能だよ!
調子が悪いと万全の戦いができないからねぇ
長旅になくてはならない! ま 地味だけど」
「うぅ……」
言い放たれた「地味」のひとこと。
露骨なほどに ショックを受けるブリオーニ。
「で アティピコちゃんは……ふーん 実技トップだったんだ?」
「えぇっ!?
そうなのっ!? すごいねーっ!」
少し こそばゆい気持ちを抑え 無表情で頷く。
『第5世代』の中ではあるけど 優秀な『個体』としてみられるのは嬉しかった。
「そっかそっかー
それで 異能の方は━━」
これからも 優秀な『個体』として目立たなきゃ。
自分の腰から拳銃を抜き 最短ルートでこめかみへ。
「これが 異能です」
引き金は重く 硬かった。
これから来る痛みも ほんの少しだけ怖かった。
だけどあたしは 『個体』でいたい。
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