第1話 死地に入るのも君が為

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 やや たどたどしい説明を受け 副長さんが深くうなずく。 「……なるほどなぁ 頭に弾をぶち込んだって 即座に回復するってことか」 「はい もちろん限界はありますが」 「……めちゃくちゃグロかったですっ! いきなり自殺して 血が飛び散って…… でもっ そうかと思ったら全部頭に戻っていってぇっ!」 「戻る?」 「はい 異能発動から10秒間に受けた傷で 1番新しいものだけですが 血の1滴から受けた弾丸まで ぜんぶ 然るべき場所へ戻っていきます」 「ちょっとしたホラーでした…… いま思い出しても……おえっ」 「……ふむ 聞くかぎり『第5世代』と同じ回復系だが やけに異能が強力だ 首都から離れた鉱石が使われている以上 異能は弱まるはずなんだが」 「ほんとですよねっ! あたしなんて 便秘とか下痢が治る程度なのにっ!」 「ははは 偵察班ならそのくらいの異能で十分だ 強襲班と違って 俺らは戦闘より持久力で勝負だからな 連携をとって生き延びたり 互いを補わないと」 「……はぁい」  互いを補う……。 「ま 詳しい話は中でな 隊長がいるはずだからさ」  顔を見合わせる あたしたち。 笑顔がかたまる 副長さん。 「もしかして 返事なかったか? 隊長は中でデスクワークを……」 「あ いや…… 聞こえなかっただけなのかもっ」 「……ちょっとここで待っててな?」  ドアをくぐって中へ入り、副長さんがそう言った。 「どうしたんだろ? 副長さん……」
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