第1話 死地に入るのも君が為

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「あの」 「ん どうしたー?」 「……正直 ありえなくないですか? 自分の仕事をほっぽりだして 遊びに行くなんて」 「あははっ! ホントその通りだと思うわ」 「いや 隊長さんのことですよ……」 「あたしたちは 軍人として生きるほかに道がないんです でも だからこそ 誇りをもって……」  ……なにか 変なことを言ったのかな。 隊長さんの 目つきがキッと鋭くなった。 「あなたが 例の拳銃自殺の…… そうなんだ? ところで 新人ちゃんの思う『誇り』って なぁに?」 「それは……異能という特殊能力を授けられ 与えられた使命を全うするという━━」 「なるほどね? でもさ いつになったら 使命を全うしたって言えるのかな」 「……『使命』は 首都にちかい顕現鉱石を もって帰ることです 首都の顕現鉱石を持って帰ったとき だと思いますが」 「そうねぇ 教科書的な100点の答えをありがと でもさ 本当に実現できると思ってる?」 「それは……」 「なんだ わかってるんじゃん そもそも 簡単にできるなら 第五世代(新人ちゃん)軍隊(ここ)にいないよね」 「………」 「となれば 全うしたって言えるときは1つだけ わかるでしょ? それは 『戦場で死んだとき』だよ」 「そんな……」 「戦場(あそこ)での死にはね? 微塵の価値もありゃしないんよ ウチの組織に 2階級特進なんて制度はないもの ……完全に 死ぬだけ損ってわけ」  そういって ブリオーニの頬を触りだす。 ヘラヘラ笑っているけれど 声は明らかに沈んでいた。 「ちょっ……」 「あはっ 赤ちゃんみたいに柔らかいわぁ ……こんな子まで戦わなくちゃいけんのねぇ」 「………」
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