矢野×小鳥遊

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 小鳥遊のそんな姿を見て、矢野は口を弧を描くように変形させる。  揶揄われる。  そう思ったが、矢野が放った言葉は意外なものだった。 「柚月くん、そのままでいいから聞いてくれる?」 「……」 「俺、多分柚月くんが思ってる以上にたくさんの人を抱いてきた。それにね、昨日みたいに俺を恨んでいる人も少なくないんだ。今までの行いが悪すぎるからだと思うんだけど。……もう、二度と柚月くんにあんな思いをさせたくない」 「……」 「だから、償いとして柚月くんのことを愛させて? もっと柚月くんのこと知りたいし、いっぱいセックスしたい。誰も知らない柚月くんを見てみたいし、綺麗な柚月くんを思い切り汚したい」 「……」 「柚月くんがしてほしいことたくさん言って? 俺、その通りにするから。柚月くんが望むなら髪を切ったっていいし、昔の友人と連絡を絶ってもいい。心中だって喜んでするし、整形もしていい。……それくらい柚月くんに夢中になっちゃってる」 「……さすがにそこまでは求めない……けど」 「けど?」 「俺、髪が茶色いの好きじゃないんです」 「あとはなにかある?」
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