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腰は細く脚は長い。首筋のラインは扇情的で、肌は陶器のように白く滑らかだ。
当然、彼____旭陽も自覚をしている。この容姿を使ってこそ商売だ。
「ベッタベタ俺の身体触りやがってっ……デリヘル嬢か! 俺は!」
「まーまー旭陽さん。誰だって旭陽さんの美貌にはクラッて来ちゃいますよ。残念ですけど、諦めて下さい」
「はあ? 俺がレイプされてもいいの?」
「されていいと言った覚えは微塵もないですけどね」
「煩いな。ああ言えばこう言うのはやめろよ」
「それは旭陽さんの方ですよね? ほら、皆黙って絵描いてるんですから貴方もさっさと描いてください。餓死したいんですか?」
「俺の一個下のくせに生意気言うんじゃねー」
「僕の一個上のくせに横柄な態度取らないでください」
「……」
「あれ、ネタ切れですか? わー、可哀想。画力あるのに語彙力ないんですねぷぷぷ」
「語彙力あるくせに画力ない奴に言われたくねぇよ。黙って俺の絵のアシストしてろや若造」
「はいはーいそこまで。お前ら仲良いなあ。さすが十年来の付き合い」
ここは、都心にある事務所だ。大きく有名なところではないが、アットホームな雰囲気が旭陽は好きだった。
この二人のやり取りは最早定番と化していて、周りの人間もくすくすと親のように見守っている。
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