シュカと青い鳥

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シュカと青い鳥

 シュカは一夜の宿を貸した客が眠りから覚める瞬間をじっと見つめていました。  長いまつげが揺れているのは目覚めの兆しです。  ゆっくりと、薄く開いた瞼から少しずつ瞳が見えてきます。その色は深い泉を覗き込んだ青。シュカは自分が息を詰めているのにも気付かないほど、煌きに魅入られてしまいました。  彼の額には玉の汗がびっしりと浮かび上がっています。身じろいだ拍子にいくつかは零れ落ち、見ると、絹糸のような青い髪が首筋にまとわり付き、肌の色が透けるほど白いシャツもぐっしょりになっていました。顔色もまるで青磁のよう。シュカはそれをとても美しいと思いましたが、見とれている場合ではありません。慌てて手にした手ぬぐいを彼の額に当てました。 「大丈夫? 随分うなされていたみたいだけど、悪い夢でも見たのかしら」 「……ああ……ありがとう。大丈夫だ。彼らが……彼らがすぐそこまで追ってきた夢を見たんだ」
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